HSEとは、刺激を深く受け取るHSP気質を持ちながら、人との交流や新しい体験からも元気をもらいやすい「外向型の繊細さ」を指す言葉です。

人と会うのは嫌いじゃない。むしろ好きです。でも、帰り道や帰宅後にどっと疲れる。みんなと笑っていたはずなのに、ひとりになると急に電池が切れたみたいになる。そんな自分を「社交的なフリをしているだけなんかな」と責めてしまうこと、ありませんか。

この記事では、HSEという考え方を通して、その矛盾の正体をやさしくほどいていきます。読むと、「私おかしくないんや」とわかりやすくなって、恋愛で尽くしすぎる理由や、人と心地よくつながる距離感のコツまで見えてきます。

社交性と繊細さが同時にある理由を整理する記事です

読了目安:約 5 分

HSEとは?外向型HSPってほんまにあるの?

HSEは外向性と高感受性が同時にある状態です

あります。HSPは「内向型しかいない」と思われがちですが、Elaine Aron の情報では、HSPの約30%は外向的だとされています。つまり、繊細さと社交性は矛盾ではなく、ちゃんと同居しうる組み合わせなんですね。Elaine Aron の解説

ここで大事なのは、HSPと外向性は別の軸だということです。HSPは「刺激をどれだけ深く受け取るか」、外向性は「人や外の世界からどれくらい元気をもらうか」の傾向です。なので、人が好きでも疲れるし、にぎやかな場が楽しくても後で静けさが必要になるんです。

HSPと外向性は別軸なので両立します

たとえるなら、HSEは「お祭りが好きな薄いガラスの器」みたいな感じです。外の世界のきらきらを楽しめるけど、音も光も感情もたくさん入るから、あとでそっと棚に戻して休ませる時間がいる。そら、楽しかったあとに湯あたりみたいにぐったりすることもありますよね。

この記事を書こうと思ったのは、カウンセリングやコミュニティで「内向型HSPの説明はしっくりこないんです」と話す方が少なくなかったからです。私たちのHSPコミュニティーの中では、「遊ぶのは好き。でも帰宅後に3時間しゃべれなくなる」と言っていた方もいました。

HSPとHSEの違いは「回復のしかた」に出やすいです

HSPとHSEの差は刺激の好みより回復パターンに出ます

HSP全体に共通するのは、刺激を深く処理しやすいことです。Aron & Aron(1997)の研究では、感覚処理感受性という特性が示されました。これは病気ではなく気質です。原典はこちら

そのうえで、HSEの方は「人といる時間そのものが嫌」ではないことが多いです。むしろ会う前はワクワクするし、その場でも楽しめる。でも、帰宅後に脳内で『本日の空気読み反省会』が開催されるんです。議題はたぶん、「あの一言、重くなかったかな」「楽しませられたかな」の二本立て。そら疲れます。

楽しめるのに後から疲れるのがHSEらしさです

視点HSPHSE
人との時間少なめ好み好きなこと多い
刺激の処理深く受け取る深く受け取る
疲れ方前から警戒後でどっと来る
回復方法静かな一人時間交流+一人時間

ここで読者さんのモヤモヤに名前をつけるなら、「刺激追求と過剰刺激の板ばさみ」です。人とつながりたい気持ちと、受け取りすぎて消耗する気質が同時にある。だから「好きなのに疲れる」が起こるんですね。変なのではなく、ちゃんと説明のつくしんどさです。

HSEが恋愛で尽くしすぎやすいのはなぜ?

HSEはつながりを大切にするほど尽くしすぎやすいです

HSEの恋愛では、相手を好きになる力が強みになる一方で、相手の表情・返事の速さ・声色の変化まで感じ取りやすいぶん、関係にエネルギーを注ぎすぎることがあります。すると「してあげたい」が、いつのまにか「してあげないと不安」に変わることがあるんです。

このあたりは、心理学の言葉でいうと境界線のあいまいさや、場合によっては共依存的な関わり方に近づくことがあります。もちろん、尽くしやすい=共依存と決めつける必要はありません。ただ、相手の機嫌や安心を自分が背負い始めると、恋愛が休憩できない仕事みたいになってしまいます。

尽くす優しさが不安対策に変わると苦しくなります

2022年の研究では、感覚処理感受性の高さは、ネガティブ感情や衝突時の対処のしかたを介して、恋愛満足度の低さと関連する可能性が示されています。つまり「敏感だから恋愛に向いていない」という話ではなく、感情の揺れをどう扱うかでしんどさが変わりやすい、ということです。研究要約

私たちのHSPコミュニティーの中でも、「会っている間は幸せなのに、解散後に相手の機嫌を何度も確認したくなる」と話していた方がいました。これは愛が重いからというより、不安を先回りして埋めようとする心の動きかもしれません。

人が好きなのに疲れるHSEが、楽になる距離感のコツ

距離感のコツは人を減らすより回復の余白を作ることです

「会う前・会っている最中・帰った後」の3か所に休憩を入れると、HSEはかなり楽になることがあります。たとえば、予定の前に30分ひとり時間を取る。会っている最中にトイレや散歩で数分離れる。帰宅後は連絡を返す前にお茶を飲んで沈黙の時間を作る。これだけでも、心の湯温がかなり整いやすいです。

社交の前後に小さな静けさを入れるのがコツです

「相手の感情」と「自分の責任」を分けて考えるのも大切です。相手が少し疲れて見えたとしても、それを全部あなたが回収しなくて大丈夫です。植物でたとえるなら、隣の鉢の葉っぱが少ししおれていても、あなたが根っこまで背負わなくていい。水をあげる優しさは素敵やけど、土ごと持ち帰らんでもええんです。

優しさと責任の境界線を分けることが助けになります

自分一人でできるセルフケアとしては、会った人の数ではなく「消耗ポイント」をメモするのがおすすめです。人混み、沈黙、恋人の既読の遅さ、長電話、相手の相談役になりすぎた場面。何に削られやすいかが見えると、次の予定の組み方が変わってきます。

私たちのHSPコミュニティーの中で、予定のあとに「15分のひとり反省会」ではなく「15分のひとり回復タイム」を先に入れたら楽になった方がいます。ぜひ参考にしてみてください。反省より先に回復、これ意外と効きます。

一人で整えるのが難しい日は、あたたかい場所を使っても大丈夫です

一人で難しい日は外の支えを使っても大丈夫です

一人でできるのが理想、という気持ちはよくわかります。でも、HSEのしんどさって「人との距離」がテーマやからこそ、一人で整理しようとしても頭の中がこんがらがる日があるんですよね。そんなときは、私たちのHSPコミュニティもあります。来ても来なくてもどっちでも大丈夫です。気になるときだけ、そっと見てみてください。コミュニティの案内はこちら

たとえば定期グループ勉強講座では、こんなテーマで進めています。

「人が好きなのに疲れる人の距離感レッスン」

「尽くしすぎ恋愛をやさしくほどく講座」

人間関係と恋愛の距離感を練習する場があります

1. 自分が疲れやすい場面を、恋愛・友人・仕事に分けて書き出す

2. 「やさしさ」と「背負いすぎ」の線引きを一緒に見つける

3. 次の1週間で試す小さな行動を1つだけ決める

4. うまくいかなかった時の見直し方まで一緒に考える

ヒデは、心理カウンセラーとして「あなたの反応がおかしい」とは見ません。どこで疲れて、どこで無理して、どこで本当は寂しかったのかを、一緒に整理していく関わり方をします。がんばり方を増やすというより、がんばらなくていい場所を見つけるサポートに近いです。

責めずに整理する関わり方を大事にしています

講座のあとの小さな宿題は、「予定のあとに5分ひとり時間を取る」「返信を1回だけ遅らせてみる」「会話のあと、自分の気持ちを3行だけ書く」みたいなものです。大きな変化ではなく、心の温泉の温度を1度下げるような宿題です。

参加した方からは、「社交的なのに疲れる自分をやっと説明できた」「好きだから尽くすしかないと思っていたけど、距離感を持つほうが長く愛せるとわかった」という声もありました。

あと、コミュニティではAIの活用もサポートしています。講座で学んだことを、日常で壁にぶつかったときにAIへどう相談するかも一緒に練習しています。慣れてくると、自分ひとりでも気持ちの整理や問題の分解がしやすくなります。コミュニティもAIも、最終的には自分で解決する力を育てるための補助輪です。

コミュニティもAIも自立のための補助輪です

一人でやるのも良し、仲間とやるのも良しです。その日のエネルギーで選んで大丈夫。そこは、ほんまに自由でええんです。

明日からできる、たったひとつのこと

まずは会う相手ではなく会った後の自分を観察します

次に人と会ったあと、「楽しかったか」だけでなく「どこで疲れたか」を1つだけ書いてみてください。会話の量なのか、気遣いなのか、移動なのか、別れたあとに来る静けさなのか。それが見えてくると、あなたに合う距離感の設計図が少しずつできてきます。

温泉でも、自分に合う湯加減がわかると長く気持ちよく入れますよね。人間関係も同じで、相手を変えるより先に、自分に合う湯加減を知ることが楽になる近道やと思います。

ヒデの体験ノート

人が好きでも疲れる感覚は私にもよくあります

僕も、人と話すのは好きなんです。会っている時間はめっちゃ楽しいし、相手が笑ってくれるとこっちまでうれしくなる。でもその帰り道、電車の中で急に静かになって、車内のにおいやアナウンスの音が一気に刺さってくることがあります。

恋愛でも、相手の表情や返事の温度を考えすぎて、頭の中で何度もリハーサルしてしんどくなったことがありました。今思うと、あれは愛情の多さだけじゃなく、不安まで全部ひとりで抱え込んでたんやと思います。

今日のおまもりカード

「人が好きなこと」と「疲れやすいこと」は、けんかしなくて大丈夫。」

── ヒデ|メンタル・スパ♨

あなたは、人と会ったあとにどんな疲れ方をしやすいですか? よければ メンタル・スパ♨のコミュニティ で教えてください。

ちなみに僕は、ビアードパパのシュークリームを食べながらやと、自分の距離感問題をちょっとだけ優しく見られます。甘いもの、ほんま偉大です。

よくある質問

HSEは正式な診断名ですか?

いいえ。HSEは一般に「外向型HSP」を説明するために使われる言葉で、医療診断名ではありません。HSPと同様に、気質を理解する補助的な概念として受け取るのが自然です。

外向的ならHSPではないのでは?

そうとは限りません。Elaine Aron の説明では、HSPの約30%は外向的とされています。外向性と高感受性は別の軸なので、両方が同時にあることは十分あります。

HSEは恋愛で相性のいい相手をどう見ればいいですか?

刺激の強さを面白がるだけの相手より、疲れたサインや沈黙を悪く取らずに受け止めてくれる相手のほうが合いやすいです。盛り上がりだけでなく、回復の時間を尊重してくれるかを見ると判断しやすくなります。

ディープダイブ ─ HSEと恋愛・相性をもう少し深く見る

恋愛の相性は刺激の量より回復を尊重できるかが大切です

HSEの恋愛でよく起こるのは、出会いの初期はすごく惹かれやすいのに、関係が深まるほど疲れやすさも増すことです。これは愛情が薄れたというより、安心したぶん素の感受性が出やすくなる面もあります。相性を見るときは、「一緒にいて楽しいか」だけではなく、「疲れた時の扱われ方がやさしいか」も大切です。

また、共依存という言葉は強すぎるラベルとして使わないほうが安心です。研究的にも概念の幅が広く、単純に断定できるものではありません。ただ、相手の問題解決まで自分の役目にしやすい傾向があるなら、境界線を学ぶことは役立ちます。優しさは才能ですが、優しさが自己犠牲だけになってしまうと、関係は長風呂しすぎみたいにのぼせてしまうんですよね。

参考文献

  1. Aron, E. N., & Aron, A. (1997). Sensory-processing sensitivity and its relation to introversion and emotionality. Journal of Personality and Social Psychology, 73(2), 345-368. DOI / PubMed
  2. Zorlular, T., & Uzer, T. (2022). Investigating the relationship between sensory processing sensitivity and relationship satisfaction: mediating roles of negative affectivity and conflict resolution style. Current Psychology. https://doi.org/10.1007/s12144-022-03796-3
  3. The Highly Sensitive Person. Introversion, Extroversion and the Highly Sensitive Person. https://hsperson.com/introversion-extroversion-and-the-highly-sensitive-person/
  4. The Highly Sensitive Person. The Highly Sensitive Person Who Is Also A High Sensation Seeker. https://hsperson.com/the-highly-sensitive-person-who-is-also-a-high-sensation-seeker/

監修

ことね(精神保健福祉士・公認心理師)── 記事の事実関係・数値・表現の適切性を確認。